ミュージカル『衛生』〜リズム&バキューム〜感想
ミュージカル『衛生』〜リズム&バキューム〜
の感想メモを発掘したので
1年越しの掲載。
2021年7月11日赤坂ACTシアターにて。
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一幕終わり。幕間です。
これは、、、わたし、あんまり好きじゃないな!?!?
アレルギー症状が出るタイプの""ミュージカル""だわ。
『いやおうなしに』は"歌謡ファンク喜劇"だったな。ミュージカルじゃなかった…。
キャラクターそれぞれに長めのソロ曲があてがわれてて、それは別にいいんだけど一曲一曲が冗長でつまんない…。自己紹介ソングばっかりが連続は、いわゆる独白ばかりが続くようなもんだから『衛生』世界の機微がインストールされてない状況でそればっかり見さされても…。なんだか公式HPのキャラクター紹介欄を一気に読んでるような印象だった。
「ストーリーを進める」という意思だけが前に出てるように感じる。
『諸星衛生』がパチンコ屋を建てたことを公にするシーンとか、それは紆余曲折あってこその盛り上がりシーンな訳でそこをすっ飛ばすなんて。
諸星親子が進めて来た泥臭く黒い仕事について死体バラして豚の餌にするシーンを作って、「諸星親子の仕事は全体的にこんなイメージですよ」とだけ先に見せるのは横着では????
こんな風に独白とストーリーをギュンギュンに展開させる曲ばかり続くから、キャラクターの深みだったりキャラクター同士の関係性の中から感じ取れるはずの背景が全く見えない。
あと、暴力の描き方が軽すぎて、ヤバい事件を揉み消しながら暗躍してるって重みが薄くなってる。
死体が出るのって重大事件なわけで、そんな重大事件を議員パワーで揉み消してるっていう諸星衛生の手強さをもっともっと描いて欲しい。
何もかも上滑りしてる。
セットも、回転する機構は好きだけど、地味だ……
諸星衛生の隣の建物の壁、マッピングのためかもしれないけどまっさらなの寂しすぎん??六角さんの選挙ポスターとか貼っといて欲しい。あと小便禁止⛩の張り紙とか。
下手の街並みセットも、なんか小綺麗で違和感あった。
せっかく2階建てやのに上手の1階が特に活用されてなくて階段とか鉄パイプ的な意匠の意味もよく分からんかった。
ヒロインも重い設定、重い背景っていう記号だけあてがわれてるようにしか見えへんかったな〜。
ラストシーン、再起で盛り上がってる諸星親子にショウコが棒片手にバトル挑みに行ったのもまじで意味わからん。父親と祖父がステゴロ強いの近くで見てたはずでは?
ノンスタ石田さんにタイミング見誤るなって言ってたショウコがそんな勝ち目のない戦いを挑むか???教祖できるくらいなんやから一旦引いて立て直すくらいの脳はあるはずやろ。
なにワンパンでのされてんねん!!17年間の恨みはらさでおくべきかちゃうんか!!!
諸星大が「また一からやり直そう!上り詰める達成感が最高だろ!」的なことを言っててめちゃくちゃ同意したと同時に「その上り詰める部分をストーリーで見せてくれや!!!!」って思った。
全部が全部事後報告みたい、諸星親子の軌跡をなぞってはいるけど歴史の教科書みたいな描かれ方やった。
怒る事件全てが観客とリアルタイムで共有されてなくて、置いてけぼり。
比べるのは良くないと思うけど、『いやおうなしに』では、甲子園に行けなかった"過去の事件"があって、その背景を元に"現在の事件"を体験する話やったからめちゃくちゃ楽しかった。
あと、人間性って人生の経験の中で固まっていくもんやろ?なんかどのキャラクターも、経験から性格が出来たんじゃなくて先に「設定」が与えられて物語に参加したみたいに見えた。六角さんの戦争帰り設定とか、本来ならそれだけで一本書けるくらいの話やのに。。
尾上右近さんはさすがの演技やった。見栄(?)いっぱいしてくれて、いいもん見たな〜と思った。
フライヤーのあらすじにノンスタ石田さんのキャラ説明で「モテない恨みを募らせてた」って書いてあるんまじでびっくりしてんけど。"モテない"恨みじゃないやろ!?!?愛する人を奪われた恨みでは!?!?
脚本がどこまで出来てた状態で刷られたんか分からんけど、さすがに表現に齟齬がありすぎる。
なにより一番期待外れやったのは楽曲。
一曲も頭に残ってない。
POPとファンクの中途半端な感じ、一曲が一曲として独立してる感じがせんかった。
例えるなら、フリースタイルラップを載せる用のトラックみたいな?歌詞を立たせるための伴奏みたいなかんじ。
ミュージカルは歌詞と同じくらい曲が大切やと思うのに、なんかがっかり。
『いやおうなしに』が大大大好きで、こんなにもずっと楽しみにしてたのにな…。
福原さんの秘密の花園やって大好きやし、なんで衛生がこんな刺さらんかったんか分からん。残念やなの気持ち。
あとマッピングで軽率に札をふらすな!!!!
札降らしなんて表現おなかいっぱい!!!
あと諸星良夫と六角さんが手を組み始めたきっかけとか、関係性を気づいた時間とかそういうところの言及も全然なくてつまらんかった。
サウナで2人でおるから、実は肉体関係があったとかそういう感じかと思ったけど違ったぽいし。
諸星良夫が色んな業種の商売の仕組みを意欲的に勉強してるの、めちゃくちゃ大切な要素やと思うのにそういう金儲けに対する勤勉な性格も全然ストーリー展開に噛んでこんくてもどかしかった。私は頭いいですから!っていうともさかりえとの対決とか出来たんちゃうん???