幾星霜

わたしのため、書き置き

『室温〜夜の音楽〜』兵庫公演初日・千秋楽

『室温〜夜の音楽〜』兵庫公演初日と千秋楽を観た。

 

1幕「むくみ」そんな使い方するの!?!?

イントロ聴いた瞬間超びっくりした。

在日ファンクの既存曲を使うのは予想外。

「根に持ってます」も、「或いは」も、人気曲大サービスという感じだった。

 

ただ、キーワードだけが物語に関連してて詞が舞台から浮いていたと思う。

この違和感が演出されたものならよかったけど

登場人物が大っぴらに歌うスタイルでない今作では

シームレスに歌と芝居が行き来する方が良かったように感じる。

 

歌詞から物語を膨らませた『いやおうなしに』と違って、

本作には有りものを合わせたちぐはぐだった。

 

ヨタロウさんの歌聴くのはゴーゴーボーイズ以来か?やっぱり良い。

あーやが歌うのを今か今かと待ってたら1幕終わってあれ?になった。

我が家坪倉さん好演だなぁ。ハマケンさんの歌もっとあってもいいくらいだ。

 

昨年の『衛生』は全員歌ったから歌うと思ってた。

あーやの歌もっと聞きたかったな。

 

セットと映像の使い方はよかったけど、

最近の芝居(特に物語が並行して進む群像劇)に多い

"各々の最後を映像で映し出す手法"が取られててがっかりした。

なぜ肉体で示さないのか。役者がそこにいるなら役者が演じてくれよ。

 

それに、音楽劇なのに音楽にのせない独白が多くて大変白けた。

長い独白を台詞でやるな。
のたうちまわって高笑いすんのやめろ。
安易に狂気を表現するな。

なんのためのバンドセットだ。2分あれば1曲歌えるだろ。

 

戯曲についても20年前の作品だってのは分かってはいるんだけど、

それでも「男が描いた女の死ぬ話じゃん……」と思った。

 

次第に明らかになる人間の罪……みたいな触れ込みだったのに

あまりにも非対象で。

 

男の罪はぜんぶ加害だったのに女の罪は不貞の妊娠だったのハァ〜〜〜????って感じ。ひとりで妊娠できねーだろ。

強姦、リンチ、窃盗と妊娠を並べて「人間の業だね❕」って馬鹿げてる。

 

きおり(さおり)と間宮の抱擁で終わるのが一番腑に落ちなかった。

中学生?高校生?の恋人関係に美化するような価値や趣きがあるとは思えない。

 

『いやおうなしに』の面影を追いかけて芝居を選ぶのもうやめる。

あれを超える作品はないし、同じものだってない。


初演は円形劇場だったのか。2階建てのセットは河原リーダー十八番の形でカッコよかったと思う。電柱も崖立った網目状のコンクリの壁も、遠くに見える住宅街の屋根もよかった。

どこにも行けない田舎の景色は鹿の彼女の起源を思い出した。